シロとクロとその間の世界

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美人=羨ましい、ではすまされない話

「傾国子女」島田雅彦、文春文庫)読了した。

 

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絶世の美女の幼い頃から亡くなるまでの生涯を描いた作品。

 

美しさがあれば幸せな人生を送られるだろうと思いながら読み始めだ。特に若い頃の美人なんて、幸せないい思いしかしないんだろうなって。

確かに若い前半と、若くなくなってきた後半とでは主人公・千春の環境や様子は違う。でも決して若いときも彼女の人生は楽なものではなかった。

 

幸せな人生とは何だろう?その時は決して分からなくて、後になってから気が付くものだ。こうして本にして人の一生を眺めて、はじめて客観的に判断できるかもしれない。

この千春の一生を読んで、彼女は幸せだったと言えると思う。

それは美人だから、という単純な理由ではない。

美人だから、楽ができるというわけでもない。

 

そう、人生は誰にとっても単純ではないし、楽なものではない。

 

その美貌ゆえ、彼女の人生は波乱に満ちている。スケールの大きい人物や事件に巻き込まれ、また自分でも事件を引き起こしていく。人がひとつでも経験すれば苦労したね、大変だったね、と言われるような出来事を人生の中で何度も常に体験している。

 

客観的にみれば、常に男の人がそばにいて幸せそうに見えるかも知れない。でも美人で男の人にモテてちやほやされて幸せ、という甘いものではない。彼女の美貌に引き付けられ寄って来るさまざまな男たちのつまらない汚い本性に、千春の苦労は絶えない。

 

でもそこで引き下がらないのが、千春のすごいところ。大親友・由里の知恵を借りながら、彼女は男たちや世間に復讐するかのように向き合って、落とし前をつけるのだ。

これが、私が千春は幸せだったと思える理由だ。

 

生まれながらにして周りを狂わせるほどの美貌を持った彼女だが、そこから生じるさまざまな人間関係や出来事に向き合い、決着をつける。

自分を正しいと理解してくれるわずかな人に支えられて、自分の人生を全うする。

 

その人にはその人の向き合うべき人生がある。

その美しさゆえ美人は目立つし、その人生の様相は華やかなものにはなるかも知れない。でも、誰でも等しく、向き合うべき人生が用意されている。私もほかの人々も、千春と一緒なのだ。