シロとクロとその間の世界

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はじめての胃部X線検査(2)

ドキドキドキドキドキドキ・・・・。

 

バインダーを胃部X線検査ブースの棚に提出し、ソファに座って待つ。

 

ドキドキドキドキドキドキ・・・・。

 

待ちの人数が多かったので、しばらく待つだろうと思っていたのに何故かすぐに呼ばれてしまった。

恐怖に包まれながら、おどおどと検査室へ足を進める。

 

ドキドキドキドキドキドキ・・・・。

 

こっちの気持ちなど知らずに、またテキパキと指示され、言われるがまますぐに検査の台のようなものに立たされる。直立状態。自分の背中側にも壁のついている台で身長よりずっと高い。

「これを脇のケースに置いてください」といよいよバリウムを渡された。

 

(これが噂の・・・・!!)

 

紙コップに入ったそれは思ったよりも白濁していて、なんか粘度がありそうというか、コーヒーに入れるクリームのような質感に見えた。

ケースに置くって、いつ飲むんだろう?と思っていたら、いきなり先生がマイク越しにしゃべり始めた。

ん?

ドラマでよくみるあの光景が頭に浮かんだ。検査対象がひとり検査室に残され、医師は別室の窓から対象を観察する。先生は私を隣の部屋の窓越しに見ながら、マイクで話していることを理解した。

 

先生の手際のよい誘導が始まる。バリウムを一口飲むよう指示され、すぐにさらにもう二口飲むよう指示される。

この時点で指示が早すぎて、さらに何が始まるのか全く分からずに戸惑いを隠せなくなる。

 

と思っている間にバリウムを残り全て飲むよう指示され、一生懸命飲み込む。

 

(思ったよりまずくない)

 

(うっすーーーーーいイチゴミルクみたいな感じね。)

 

そう思っていると、げっぷをしないよう先生に指示される。

 

ドキドキドキドキドキドキ・・・・。

 

出ちゃったらどうしよう、と思っていると、なぜか機械が動く気配がした。

と思っているうちに「ウィーン」という機械の音がして、なぜか背中側の壁が傾き始めた。

 

(えっ・・・・!?)

 

あれよあれよと言う間に、私は斜めに倒された。

全く想定していなかった事態に私の頭はパニックになり始める。

 

(そうか、この背中側の台はこうして傾いて、台になるものだったんだ・・・)

 

待っている間に渡された説明書のようなものに、手摺にちゃんと捕まるように書いてあったことをぼんやりと思い出す。手探りすると、脇にたしかに手摺が付いているので思いっきり握る。

 

「じゃあ右向いて、3回転してください」

 

(はい・・・!?)

 

このほどんど横になった状態で3回転だと・・・!?

戸惑っている暇はない、先生からも少しピリっとした空気を感じたので、必死に右側から3回転する。台の上で、大の大人が3回転している姿はとてもシュールだ。本当にこれでいいのだろうか。

 

「はいそうです、そうです」

と先生に言われて、私は間違っていなかったんだとほっとする。

 

そんな安堵の気持ちもつかの間、その後「左のお尻を少し浮かせて右に体を傾けるように」指示を受ける。

どっちが右か左か分からないぐらい、頭の中が混乱している。何とか傾けると、また先生が「そうそう」と言ってくれたので、間違っていないとほっとする。

 

その後、検査中は終始!必死だった。

何故か急に背中の壁がまた動きだして、勾配が急になり、体が滑り台から滑るようにずり落ちてしまいそうになった。

(ひえー・・・)

落ちないように必死に手すりにつかまり一命をとりとめる。

ただの検査台なのに高所恐怖症の私は高いところにいるような錯覚に陥る。

(今思うとバカみたい)

 

先生はそんなことも気に留めない様子で、動き続ける台に合わせて「~に体を傾けてください」とか冷静にスピーディに体を動かす指示をしてくる。

 

「3回転」も、もう1回か2回やったと思う。

 

台が急に動いてそれに合わせて落ちないよう気をつけながら、先生の指示に従い必死に体を動かしていると、不意になんだか面白い気持ちになってきた。

 

(なにこれ・・・ずっと、してたい・・・)

 

自分でも意外だった。

忍者になるための修行をしているような気持になってきたのだ。

 

最後に台はまた垂直に戻り、私は直立状態になる。

最後にまた右側を向くように先生から指示を受けた私は、なぜか首だけを右に回し、窓越しの先生を見つけ見つめた。

先生とがっつり見つめ合う。

「体のことですよ、ずっとそうでしたよね?」

と先生は真顔で(少しキレ気味で)言った。

・・・ガーン・・・。

最後に一番強く先生に注意され、恥ずかしかった。

 

でもこの検査が終わった後、なぜか私の心は達成感に満たされていた。

それまでのビビりが嘘のように。

 

この謎の機械の動きに耐えながら、先生の指示に従い動くこの作業を私はとても気に入ってしまった。

 

そしてチクチク注意されたけど、こんな複雑な検査を一日中何十人と対応している先生に、心からの賛辞を(合掌)。