ドラマちっくな人生

まあまあドラマ好き。

ドラマ【知らなくていいコト】は吉高由里子の魅力を引き出せていたか?

吉高由里子さんと言えば、私自身も彼女も今よりずっと若かった頃、「時効警察」(テレ朝)にゲスト出演していたことを思い出す。

 

呼吸をするように自然な、でもどこか切なさがただようセリフの言い方がすごく印象に残っている。顔立ちはどちらかと言えば地味で見た目にそれほどインパクトはなかった(もちろんすごく可愛いけど)のに、10年以上経過したであろう今でも覚えているとは、よっぽど印象的だったのだと思う。

 

その後映画でヌードを披露したり、朝ドラなどにも出演し、今や定期的に主演を務める第一線の女優になっている。

 

その吉高由里子さんが出演した「知らなくていいコト」(日テレ)。

 

ものすごく「地味」なドラマだったと思う。画面から発せられるドラマ全体の色に、鮮やかさとか、みずみずしさと言ったものはまるで感じられなかった。

 

吉高さんの衣装も地味。ヒロインの相手もイケメンでセクシーなのかも知れないけど、かなり地味顔。週刊誌の編集をしている出版社が舞台になっているので、登場人物たちの背景も、書類やらなにやらに埋もれてかなり殺伐としていた。

 

本来トリスハイボールのCMで見られるような、笑顔とか明るさが彼女の魅力の一つなのだとは思うが、今回のドラマではそれも封印されていた。

 

いつもダボっとした、暗い色の服を着て、男性だらけの職場で働く主人公は、生い立ちも複雑でちょっと影の感じられるキャラクター。おまけに交際相手は既婚者。

 

そんな主人公を吉高さんが演じる姿に最初は違和感があった。彼女の明るさも生かせていないし、暗い色彩に溢れるドラマに、似合っていない気がした。

 

でも見ているうちにこのドラマから発せられる、どこか暗さのある、クールな大人な雰囲気がくせになってきた。

 

そしてこの殺伐とした職場や、トラブルだらけの人間関係という救いのない設定の中で、右往左往する主人公、という今の時代暗くて見てらんない、と思ってしまいそうなこのドラマを魅せることができたのは、まぎれもなく吉高さんが主人公を演じていたことが大きいと思う。

 

他の女優だったら、ここまで自然にならなかったと思うのだ。男だらけで、人の秘密を暴くというシビアな職場である出版社で、しかも罪悪感の感じられないような設定の不倫をする主人公が。

 

それは吉高さんの持つ、そして吉高さんがこのドラマのために作った、バランスの良さにあると思う。女らしすぎてもいけないし、かと言って仕事に没頭する女を忘れたような男勝りが過ぎてもよくない。

 

演者としての自分の美しさや演技の上手さを見せつけるような押し付けがましさがあれば、このドラマの淡々とした雰囲気は出せかったと思うのだ。

 

内なる自分の意志で仕事を忠実に行い、なおかつ内なる自分の意志で心の底から好きな人と付き合う。でも、それを貫くことを選ばなかった主人公。

 

女であることを否定も肯定もせず、自分の意志に忠実に淡々と生きる主人公。

 

そんな女性を淡々と涼やかに演じられた吉高さんの姿。そのすごさは分かりにくいかもしれないが、このドラマのクールで大人なイメージに大いに貢献していたと思う。

 

女性としての魅力はもちろんのこと、作品や周りとのバランスを考えて演じられる女優としての頭の良さみたいなものもよく分かった。

 

この雰囲気は、吉高由里子さんじゃないと作れなかった。女優としての新しい一面を見せてくれて、楽しませてくれた吉高さんありがとう。