シロとクロとその間の世界

雑記BLOG/趣味のない転勤族妻が生活に楽しみを見出すために書く/健康になりたい/ドラマ好き/英語勉強中

【松本清張の本】もう若くないと言われてちょっぴりショックだった

「わるいやわつら(上・下)」松本清張新潮文庫)読了した。

                                              

松本清張の本は何冊か読んでいるのだが、読まずにはいられないほど面白くてすぐに読んでしまう。

(私の読書には2種類あって、一つはこんなふうに読まずにはいられなくなって、空いている時間はずっと夢中で読み続けるもの。そしてもう一つは決して面白くないという意味ではなく、冷静にふんふん、と知識を付けるように読むもの。その中間もある。)

 

松本清張の小説の面白いところはたくさんあるけど、一つに「男女の大人の世界」が垣間見られる、というのがある。

わるいやつら」は、男女の恋愛関係に留まらない。むしろ、恋愛関係などはるか彼方に越えてしまった男女が織りなす汚い人間ドラマみたいな感じ。でも、完全に男女の恋愛関係からも抜け出せない。だからややこしい。

そんなこの物語の主な登場人物・・・

 

【戸谷(とや)信一】32歳 主人公 病院の2代目院長

【槙村隆子】27際 バツイチ 生活力、美貌あり 洋裁店経営(一番好き)

【横武たつ子】32歳 もう若くない(同世代なのでショック)人妻、と描かれている

【藤島チセ】戸谷より15際年上 47歳 洋品店経営 

【寺島トヨ】戸谷より年上 ベテランの看護士 戸谷の父親の愛人だった       

【下見沢作雄】弁護士、戸谷の相談相手で、女性を紹介する

 

ただの純粋ないい人なんで一人も出て来ない。金作に走る主人公とその周辺の人々が、醜く欲望や自己防衛のために行動する様が見られる。

 

さらに、清張の小説ですごいなあと思うのは、細かいことだけど女性の描き方が秀逸だということ。女性のおしゃれな服装や、顔の造型、化粧や雰囲気、性格などの描写を読むと、時代は違うはずなのに女目線で楽しい気持ちになってくる。

この小説でピカイチの登場人物、槙村隆子も美しく、才能のある優秀な女性として描かれている。戸谷と会うたびにその美しくお洒落な姿が描写されているのを読むのも楽しかった。

 

さて、この主人公は客観的に見れば、「女たらしの落ちぶれた下衆な元医者の犯罪者」ということになるのだが(かなりスキャンダラスな事件だな)、ぜんぜんそんな気がしない。それは清張が主人公の心理に肉薄して物語を描いているからだと思う。それで読み手も深く主観的にのめりこんで読んでしまうのだ。自分の私利私欲を追求し計画を実行していたら、「いつの間にか」そうなっていた。そこには自分の理想の世界があって、なんとしてでもそれを思い通りにしたいという強い意志がある。間違っている、犯罪だということも分かっているはずなのに、欲の強さに支えられ上手くいくと信じ込んでいるのだ。